5月短歌読書会

開催日 08.gif 平成22年5月8日(土)
会場 08.gif 渋谷区穏田区民会館
開場 08.gif 17:30
開会
08.gif 18:00 終了予定21:00

※今回は歌稿Aと歌稿Bとを並べてみました。

49 わが爪に魔が入りてふりそゝぎたる月光むらさきにかゞやけり(歌稿A)
49 わが爪に魔が入りてふりそゝぎたる、月光むらさきにかゞやき出でぬ。(歌稿B)
50 あすのあさは夜あけぬ前にたつわれなり母は鳥の骨など煮てあり(歌稿A)
50 あすのあさは夜あけぬまへにたつわれなり母は鳥の骨など煮てあり。(歌稿B)
51 鉄のさび赤く落ちたる砂利にたちて忙しく青きはたを振る人(歌稿A)
51 鉄のさび赤く落ちたる砂利にたちてせわしく青き旗を振るひと。(歌稿B)
52 鉛などとかしてふくむ月光の重きにひたる墓山の木々(歌稿A)
52 鉛などとかしてふくむ月光の重きにひたる墓山の木々。(歌稿A)
53 水車の軸棒はひとばん泣きぬ凍りしそら微光みなぎりピチとひゞいり(歌稿A)
53 軸棒はひとばん泣きぬ凍りしそら ピチとひびいらん微光の下に。(歌稿B)
54 凍りたるはがねの空の傷口にとられじとなくからすのむれか(歌稿A)
54 凍りたるはがねの空の傷口にとられじとなくよるのからすらなり。(歌稿B)
55 不具となり月ほの青くのぼり来ればからす凍えからすらさめてなけり(歌稿A)
55 かたはなる月ほの青くのぼるときからすはさめてあやしみ啼けり。(歌稿B)
56 鉛筆のこなによごれしてのひらと異端文字とを風がふくなり(歌稿A)
56 鉛筆のこなによごれてひゞいれる白きペンキを風がふくなり(歌稿B)
57 霜ばしら丘にふみあれば学校のラツパがはるかに聞えきたるなり(歌稿A)
57 霜ばしら丘にふみあれば学校のラッパがはるかに聞えきたるなり。(歌稿B)
58 いくたびか愕きさめて朝となりしからすのせなかに灰雲がつき(歌稿A)
58 いくたびか愕きさめて朝となりしからすのせなかに灰雲がつき。(歌稿B)
59 ブリキ鑵がはら〔だゝ〕しげにわれをにらむつめたき冬の夕暮のこと(歌稿A)
59 ブリキ缶がはらだゝしげにわれをにらむ、つめたき冬の夕方のこと。(歌稿B)
60 灌木のかれは紅き実かやのほの銀にまじりて風にふるふか(歌稿A)
60 灌木のかれ葉赤き実かやの穂の銀にまぢりて風に顫ふか。(歌稿B)
61 さいかちの実のごとくからすら薄明のそらにうかびてもだすなりけり(歌稿A)
61 さいかちの莢のごとくからすら薄明のそらにうかびてもだすなりけり。(歌稿B)
62 きら星のまたゝきに降る霜のかけら墓石石は月に照り(歌稿A)
62 きら星のまたゝきに降る霜のかけら、墓の石石は月光に照り。(歌稿B)
63 うす黒き暖炉にそむきひるのやすみだまつて壁のしみを見てあり(歌稿A)
63 でこぼこの暖炉にそむきひるのやすみだまつて壁のしみを見てあり。(歌稿B)
64 白きそらひかりを射けんいしころのつちぐりにあかつちうるうるとこゞえ(歌稿A)
64 白きそらひかりを射けんいしころのごとくもちらばる丘のつちぐり。(歌稿B)
65 つちぐりは石のごとくに散らばりぬ凍えし丘のあかつちだひら(歌稿A)
65 つちぐりは石のごとくに散らばりぬ 凍えしがけのあかつちだひら。(歌稿B)
66 あかるかに赤きまぼろしやぶらじとするよりたちぬ二本のかれ木(歌稿A)
66 あかるかに赤きまぼろしやぶらじとするより立ちぬ二本のかれ木。(歌稿B)(末尾に「。」の無い66’がある)
67 湧きいでてみねをながれて薄明の黄なるうつろに消ゆる雲かも(歌稿A)
67 湧き出でてみねを流れて薄明の黄なるうつろに消ゆる雲あり(歌稿B)
68 われ口を曲げ鼻をうごかせば西ぞらの黄金の一つ目はいかり立つなり(歌稿A)
68 こぜわしく鼻をうごかし西ぞらの黄の一つ目をいからして見ん。(歌稿B)
69 西ぞらのきんの一つ目うらめしくわれをながめてつとしづむなり(歌稿A)
69 西ぞらの黄金の一つめうらめしくわれをながめてつとしづむなり。(歌稿B)

Posted by 外山正

コメントを残す